人時生産性とは?計算方法から向上施策、成功事例まで徹底解説

人時生産性とは?計算方法から向上施策、成功事例まで徹底解説

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少子高齢化による労働力不足、そして「働き方改革」による労働時間の上限規制。多くの企業が、限られたリソースでこれまで以上の成果を出すという難題に直面しています。「生産性を上げろ」という号令はかかるものの、具体的に何から手をつければ良いのか、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

その解決の鍵を握るのが、従業員一人ひとりが1時間で生み出す付加価値を示す「人時生産性」です。この指標を正しく理解し活用することで、単なる業務効率化に留まらず、事業の収益構造を根本から改善し、従業員の働きがいをも向上させることが可能になります。

本記事では、人時生産性の基本的な計算方法から、明日から実践できる具体的な向上施策、さらには成功を収めた企業の事例までを網羅的に解説し、貴社の持続的な成長を後押しします。

1.人時生産性とは?

「productivity」の文字と階段状に上昇するグラフを指さすビジネスパーソン

人時生産性とは、従業員1人が1時間あたりに生み出す付加価値(粗利)を示す経営指標です。計算式は「付加価値額 ÷ 総労働時間」で表され、この数値が高いほど、効率的に利益を生み出していると評価できます。

企業の収益性を測る「労働生産性」の一種ですが、月単位や年単位で見る「人月生産性」とは異なり、時間単位で算出するため、より短期間での業務効率や収益性を正確に把握できるのが特徴です。

2.なぜ今、人時生産性が重要視されるのか?

 木製の台に置かれた白い「?」マークがある石のブロック

人時生産性が注目される最大の理由は、日本が直面する社会構造の変化にあります。この背景には、深刻化する労働人口の減少があります。総務省統計局の調査によると(stat.go.jp)、日本の生産年齢人口は長期的に減少傾向にあり、企業は少ない人数で事業を維持・成長させなければならない状況にあります。

さらに、2019年から順次施行された「働き方改革関連法」により、時間外労働の上限規制が設けられ、従来の長時間労働に頼った経営モデルは限界を迎えています。

このような状況下で、限られた人材と時間で最大限の成果を出すための指標として、人時生産性の重要性が高まっているのです。

3.人時生産性の計算方法と目標設定

電卓をペンで操作するビジネスパーソンの手元、計算・分析のイメージ

人時生産性は、以下の計算式で算出します。

人時生産性 = 付加価値額(粗利) ÷ 総労働時間

「付加価値額」は、企業が事業活動を通じて新たに生み出した価値のことで、一般的には「売上総利益(粗利)」を用います。「総労働時間」は、全従業員の労働時間(所定労働時間+残業時間)の合計です。

付加価値額の計算方法には「控除法」と「積算法」があり、自社の会計方式に合わせて算出してください。

計算方法

概要

控除法

売上高から外部購入価値(原材料費、外注加工費など)を差し引く方法

積算法

人件費や営業利益などを足し合わせる方法

自社の生産性レベルを客観的に把握することも重要です。公益財団法人日本生産性本部の「労働生産性の国際比較 2023」によると(jpc-net.jp)、日本の時間当たり労働生産性はOECD加盟38カ国中30位と、依然として低い水準にあります。業種によって平均値は異なりますが、こうしたデータを参考に自社のポジションを確認し、具体的な目標設定に繋げることが求められます。

4.人時生産性を向上させるための具体的な4つの施策

黄色い背景に置かれた、数字の1から4が書かれた4つの木製ブロック

1. 業務の可視化と標準化

まず取り組むべきは、誰が、いつ、どのような業務に、どれくらいの時間をかけているのかを正確に把握することです。業務フロー図を作成して全体の流れを可視化し、非効率な作業や重複している業務を洗い出します。その上で、業務手順をマニュアル化・標準化することで、個人のスキルへの依存を減らし、組織全体の業務品質とスピードを底上げします。

2. ITツール・デジタル技術の活用

定型的な事務作業やデータ入力などは、ITツールに任せることで大幅な時間短縮が可能です。例えば、以下のようなツールが有効です。

  • 顧客管理

    SFA(営業支援システム)

  • マーケティング活動
    MA(マーケティングオートメーション)

  • 単純なPC操作の自動化

    RPA(Robotic Process Automation)

自社の課題に合わせて適切なツールを選定・導入しましょう。

3. 計画的な人材育成とスキルアップ

従業員一人ひとりのスキルアップも、人時生産性向上に直結します。特に、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む現代においては、従業員のリスキリング(学び直し)が不可欠です。経済産業省は、将来の成長が期待される分野で活躍するためのスキル習得を支援する「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を推進しており、国としても個人のスキルアップを後押しする動きが活発化しています。企業はこうした制度も活用しながら、OJTや研修、資格取得支援などを通じて、計画的な人材育成に取り組むことが重要です。

4. 適材適所の人員配置

従業員の能力や経験、意欲を最大限に活かすためには、適材適所の人員配置が欠かせません。個々の従業員のスキルやキャリアプランをデータで一元管理できる「タレントマネジメントシステム」などを活用し、客観的なデータに基づいた人員配置を行うことで、エンゲージメントと生産性の両方を高めることができます。

5.人時生産性向上の成功事例

ビジネススーツを着た複数人が、中心で拳を重ねる様子、チームワークのイメージ

■飲食チェーンにおける典型的な改善事例 これまで手作業で行っていたシフト作成や勤怠管理にクラウド型勤怠管理システムを導入することで、各店舗の店長が毎月20時間以上費やしていた管理業務を約5時間に短縮できる可能性があります。創出された時間を接客品質の向上や新人教育に充てることで、顧客単価が向上し、人時生産性が前年比で12%程度アップするような改善も期待できます。

■中小製造業における典型的な改善事例 熟練工の技術を若手に継承するために動画マニュアルを作成・導入することは有効な手段です。これにより、従来OJTに頼っていた教育期間が半減し、若手従業員が早期に独り立ちできるようになったケースがあります。結果として、工場全体の生産性が向上し、人時生産性が18%程度改善することも可能です。

6.まとめ

オフィスでPCを囲み、笑顔でカメラを見るビジネスチーム

人時生産性の向上は、単なるコスト削減や効率化の取り組みではありません。限られたリソースの中で企業が持続的に成長し、従業員がやりがいを持って働ける環境を構築するための重要な経営戦略です。本記事で紹介した計算方法や施策、事例を参考に、まずは自社の現状把握から始め、具体的な改善アクションへと繋げていきましょう。

この記事を書いた人

宮下雄

フリグラム株式会社 代表取締役

“自然と成果が出る仕組みづくり”をテーマに、フリグラムを2022年に創業。現場の一次情報を大切に、細部までこだわった設計で“使いやすさ”と“成果”を両立した業務改善システムを開発しています。

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